今日の三人と…~乾杯!
浦辺「お疲れさん。荷物の片付けは終わったのか?」
吉川「お疲れ様や! ワイはもう終わったで。なにせワイは明日大阪帰るさかい」
山田「お疲れ様。しかし、早いな。他はそこまで急いでないのに」
吉川「ミーくんは分かってへんな! 大阪の人間はイラチやねん。岡っちほどではないけどなんでも早くやらんと気が済まんねん!」
山田「そ、そういうものなのか……」
浦辺「そういえば岡野はもう帰ったんだったな」
吉川「念願のプロテストを受けられるからって速攻や。アイツ、坂やんにもロクに挨拶しとらんで」
山田「プロテスト……。そういえば、皆は何故RJに参加したんだ?」
吉川「まぁ、言うて理由はないな。ワイは素直に手伝いがしたかっただけや。それはべーやんも坂やんも同じやないか?」
山田「そうなのか?」
浦辺「まぁな」
吉川「おかげでべーやんは後輩にずっと睨まれとったな」
浦辺「その話はやめろよ! スゲー気にしてんだぞ、コッチは!」
山田「まぁいいじゃないか。仲直りは済んだんだろう? 」
浦辺「とりあえずは……な」
吉川「ミーくん、あんま言うたんな。本人も恥ずかしそうやしな」
浦辺「どういう意味だよ!」
山田「弓倉はどうした?」
浦辺「アイツは部屋を片付けてるよ。火野が置いていった私物が結構多いらしい」
吉川「弓ヤン、複雑そうな顔しとったわ。一番仲良かったもんなぁ」
浦辺「そうだな。それにきっと、それ以上に思うことがあるんだろ」
山田「そうか。坂木は賀茂監督に渡すものがあるからと書類整理しているしな」
吉川「気楽なんはワイらだけやで、ミーくん」
浦辺「おい、俺を入れろよ俺を!」
吉川「キミは後輩とモメとるやんけ! 気楽ちゃうやろが!」
浦辺「とかいいつつ、早田に詰め寄られてただろ、杉本クン?」
吉川「本名で呼ぶなや! あ、いや呼んでもええけどなんかこそばゆいわ!ずっと吉川やったからか……」
山田「気楽は俺ぐらいなものか。坂木も結局岡野の世話にヤキモキしていたようだし」
浦辺「お前はお前で苦労してたろ。主に日向のシュートで」
吉川「やめたりーや。アレは普通なら誰でも怖いがな」
吉川「さて、休憩はここらで終わらせて残りも終わらせといでや、お二人さん!」
浦辺「そうだな。片付けて最後にぱーっとうまいもん食おうぜ! 豆腐なら任せろ!」
山田「坂木になにかお願いしておこうか豆腐を使うなら麻婆豆腐が食べたいぞ」
吉川「ミーくん流石! たのむで!」
浦辺「そんじゃ、また終わったらここに集合つーことで!」
坂木「………困ったな。岡野に渡しそびれた。」
山田「坂木、今少しいいか?……どうしたんだ、それ」
坂木「監督が書いた推薦状だ」
山田「それ、プロテストのためのやつか。これはまた……」
坂木「多分夜には取りに帰って来るだろうなコレは」
山田「なら、ついでに食事に誘って最後の晩餐でもいいんじゃないか?」
坂木「…そうだな。火野が居ないのは残念だが……」
山田「遠くにいる友の行く末を祈るのも、悪くないさ」
坂木「では、久しぶりに腕を振るうとしよう。存分にな」
山田「ありがとう。浦辺が豆腐を用意してくれるらしいから、俺は麻婆豆腐を希望する」
坂木「検討しよう。後で他のメンバーにも聞いて回るか」
山田「それがいい。……あ、岡野が凄い顔で走ってきてる」
坂木「早いな。夜だと思っていたが」
山田「いいじゃないか。岡野と話したい事もあるだろう。俺は外すよ」
坂木「すまない。感謝する」
岡野「……はぁ、っ……クソ、急ぐもんじゃねぇな」
坂木「推薦状だ。大事なものだろう?しっかり持っていけ」
岡野「すまねぇな」
坂木「……岡野」
岡野「なんだよ」
坂木「RJは……俺達はいい踏み台になったか?」
岡野「……下らない質問だな。踏み台なんて言い方もうする必要もない」
坂木「…………」
岡野「お前たちは仲間で次はプロとして戦うライバル。それで十分だ」
坂木「ありがとう。」
岡野「礼なんて言うな、気恥ずかしい。ところで、今日はもう帰る気力がないからお前の部屋泊めてくれ。布団も全部返したから」
坂木「いいだろう。明日朝一で出るんだろう?早めに食事の支度をしよう」
岡野「手伝うから、さっさと始めようぜ」
7月某日。
こうして変則的に造られたチームは役目を終えた。
友情を育んだこの合宿所で最後の宴とともに
一足先に帰った仲間の道が明るい事を祈り、コップを軽くぶつけ合って大声で喜びの声を上げた。
そして皆、各々が誓いあう。
次会うときは、フィールドで!