リョーマの拒絶、それが最初の始まり。
そして、俺達の終わりでもあった。
「今度はフィールドで会おう」
俺の精一杯の強がりの言葉と伸ばした右手をアイツは容赦なく左手で払った。
払われた右手に俺は瞬間、自分の手に視線を落とした。
そして。
「二度と会うことなんてねぇよ。これでさよならだ、弓倉」
残酷な一言が俺の全身を貫いた。
ウルグアイと日本の距離を調べた事がある。
それは計り知れないほどの距離で、普通ならおいそれと行けるような場所ではない。
俺が眠る頃、アイツは目覚める。
時間すら逆転するほどの場所。
そんな距離をどうやって埋めようと俺は考えたんだろう。
アイツからのさよならは、その距離の現実を見ろという意味だったのか。
俺には分からない。 分かりたくもない。
払われた右手が少し赤くなってるのを見つめる事しか出来なかった俺を
お前は一体どう思ったんだろうか。
俺には分からない。……知りたくもない。
今思えば、俺はアイツに夢中になりすぎたのかもしれない。
だってそうじゃないか。ウルグアイからやってきた手負いの狼のようなアイツを見捨てられるほど、俺は非道では無かった。
最初、拒絶を見せたアイツも、次第に心を開いてくれた。
俺には比較的素直でどこか優しい笑みを浮かべてくれるその仕草に、俺は特別なんじゃないかと錯覚させる。
……甘えていたんだ。その笑顔に、その優しさに。
だから、勘違いしたんだ。お前も同じだと。
手を伸ばしたその時までは。