「これで本当に、さよならだ」
空港のロビーで呟いた言葉。
もうここに来ることも、アイツラに……弓倉に会うことは無い。
空を見上げて、誰かを想うことも無い。
「好きだったぜ、弓倉。誰よりもお前が好きだった」
全部ここに置いていく。
お前が好きだったって感情も。
だから、お前もどうか。
飛行機へ乗るため歩みを進める。
一瞬、声が聞こえた。誰かが俺を呼ぶ声。
その声を聞いて、振り返った先に誰も居なかった。
「……未練タラタラかよ、俺」
その声が、弓倉の声に聞こえた気がして自嘲した。
再び前を向いて、歩き始める。
さようなら、と誰にでもなく呟いた。