暴いたら最後、離れられないよ
好きという感情は、とてもとても醜いと思う。
お前のプレイ、お前の表情、お前の言動。
…………お前の内臓(なかみ)すら、知りたいと願う。
不健全といえばそうだろう。俺の精神はとっくの昔に不健全まっしぐらだよ。
それでもそうさせたのは、あのバカだけなんだ。
視線がふいにかち合い、感情(のうみそ)が揺れる。
笑いかけるお前の笑顔の中身(ほんね)すら、知りたいよ。俺は。
…………俺が居なくなったあとのお前を考える。
お前は溶けて無くなっちまうじゃないかな、と考える。
実際そんな訳はないって、知っている。
瞳の奥にある感情を、俺は知っている。
俺の感情(ほんね)を探り当てようとするお前。
もし俺が居なくなったら、全部全部壊れちまうような気がする。
そんなわけ、ないのに。
視線がふいにかち合って、お前の眼がまた俺を捉える。
教えてやろうか?笑顔の中身(ほんね)。
それは、お前が見つめてくれてるから、だよ。
「知りたいなら、いいぜ」
柔らかな声が誘いかけてきて、俺指先は誘われるがまま唇に触れた。
「どこから見たい?」
開かれた口の中へ指を滑らせ、その白い歯をなぞる。
顔を近づけて、口づけて、今度は耳に触れて、何度も形を確かめるように撫でる。
「次は……こっちだな?」
誘導された先は、腹。
「割いてみるか?」
つまんねぇ冗談言うなよ、と言葉を返すけれど顔は笑ってないだろうな。
リョーマは笑ったまま俺の肩に触れる。
「全部知って、全部把握(わか)ったら、さ」
お前は俺なしじゃ生きてられんねぇぞ?
そうからかうお前が、ちょっと憎たらしい。
ああそうさ、今更だろう?
だから、全部暴かせてくれ。
全部、教えてくれ。
耳元で囁いてそのまま噛み付いた。